BGM / Back Ground Music (Reissue)

1980年、僕が17才の時にBGMというユニットとして、故阿木譲が主宰していた大阪のVanity Recordsからリリースしたアルバム『Back Ground Music』が、80年代後半の未発表曲集『Missing Link』と同じStudio Muleより10月18日にLP(ヴァイナル)でリイシューされます。オリジナル・マスターテープからのリマスターで、『Missing Link』に続いてマスタリングはkuniyukiくん。


それとは別の流れでもうひとつ。1978年から1981年の間にVanity Recordsがリリースした10枚のアルバムと3枚のシングルを11枚のCDにしたボックスセットが大阪のKyou Recordsから10月21日に出ます(国外はスイスのWRWTFWW Recordsから)。



長い紆余曲折を経てBGMのマスターテープと原盤権がこちらに譲渡されることになったのが今年の初春くらい。ちょうど『Missing Link』の選曲が済んだ頃で、そこからStudio MuleでのBGMのリイシューの話が具体的に動き出し、結果的にボックスセットとほぼ同じ時期のリリースになりました。



考えてみると『Missing Link』に収録した曲を録音していたのが大体30年前、『Back Ground Music』は更に遡って39年前(!)。BGMのアルバムはというと、他の3人のメンツを連れて東京から大阪へ新幹線で行き、本格的なレコーディング・スタジオに初めて入って1日で録音/ミックスを仕上げるという強行スケジュール。当時は現在のように個人が自宅でマスタリングまで完結できるような環境とは全く比較にならない状況で、当然ネットもないからノウハウの情報を得ることも非常に難しい時代。自分自身、BGMの時はレコーディングに関して全く無知だったし(というかプロセスを殆ど理解出来ていなかった)、タイトなスケジュールの中で先走る自分の頭の中のイメージを上手く具現化出来なかったという悔いが強く残っています(クセのある阿木さんという人物からのプレッシャーを上手くかわせなかったということもあり)。


そんなわけで個人的には反省点ばかり目について、ずっとリイシューに関しては消極的だったのですが、あの時代のドキュメントとしてアーカイブすることの意義というのはあると思うし、当時の経験があったからこそ、人にプロデュースをまかせずに録音も含めて諸々自分でコントロール出来ないとダメだと実感したワケで、結局その後の自分に大きな影響を与えた出来事だったのだなと、阿木さんへの複雑な思いと感謝も含め、時間の経過と共にそれなりに客観視出来るようにはなりました。そして、BGMは自分のキャリアにおいて始まりであると同時にあくまでもひとつの点でしかないので、現在の自分へと繋がる点から点へのグラデーションの流れの中から80年代を切り取る場合、このリイシューと『Missing Link』の2つのリリースが必要だったと、そう考えています。


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蛇足ですが、1970年代〜80年代の国産の名曲をカバーしたStudio Mule名義のユニットによる『BGM』というタイトルのアルバムが今年3月にStudio Muleからリリースされていて少しややこしいのですが、その辺よろしくお願いします。



BGM ‎- Back Ground Music

Format: LP

Label: Studio Mule

Catalog No: Studio Mule 24

Distributed by Kompakt

Release Date: 10/18/2019

***Reissue

Originally released in 1980 on Vanity Records